クラブと街、そして人とビールを紡ぎ合わせる
唯一無二のフットボールメディアを目指して

【世界最古のプロクラブ・ノッツカウンティ】The Magpiesと黒白の街

「Notts County(ノッツ・カウンティ)」は、1862年創設時から使用されている名称で、ノッティンガムシャー(Nottinghamshire County)に由来します。世界最古のプロサッカークラブとして知られ、フットボールリーグ創設メンバーの一員でもあります。地元では「County」や「Magpies(カササギ)」と呼ばれ、黒白のストライプはクラブの象徴とされています。

現在のエンブレムは、中央の盾を挟んで向かい合う二羽のカササギが特徴です。カササギはチームカラーの黒白にちなんで「忠誠」と「知恵」を象徴しています。盾のデザインはノッティンガムシャーの歴史的紋章をモチーフにしており、地域社会との深い結びつきを表現しています。

黒白の縦縞が基本形。シンプルながら袖や襟の微細なデザイン変更にファンの注目が集まる。長年受け継がれるクラブの伝統を象徴しています。

  • 名称: メドウ・レーン(Meadow Lane)
  • 収容人数: 約19,800人
  • 開場: 1910年
  • 所在地: Nottingham NG2 3HJ
  • 特徴: トレント川を挟んで向かいには宿敵ノッティンガム・フォレストの「シティ・グラウンド」があり、地図で見ると川越しの“視線のライバル関係”が分かります。
  • 雰囲気: ゴール裏の圧迫感とサポーターの声量は下部リーグ屈指。観客とピッチの距離が近く、迫力満点です。

・地元密着・コミュニティファースト。
・子どもたちへのサッカー教育、地域健康促進、ボランティア活動を重視。
・補強よりも下部組織とチームワークの向上を優先する姿勢が根付く。

  • FAカップ優勝(1894年)
  • フットボールリーグ2部優勝(1897年)
  • 下部リーグでの昇格多数(近年はナショナルリーグからEFL復帰)

  • ユベントスのユニフォーム誕生秘話(1903年)
    ユーベが白ピンクの旧ユニが色落ちしたため、ノッツ・カウンティの友人から黒白ストライプを譲り受けた。この出来事は両クラブの永遠の絆に繋がっています。
  • 2011年のサプライズ人事
    元イングランド代表監督スヴェン=ゴラン・エリクソンがディレクター・オブ・フットボールに就任。

  • 愛された選手: ジミー・シリル(FW)
    クラブ一筋で活躍、黄金期を築き、銅像も建立。
  • 愛された監督: ジミー・シリル
    選手兼監督としてクラブの礎を築き、今もファンに敬愛される存在。

  • トニー・アガナ(1991年)
    シェフィールド・ユナイテッドから移籍、移籍金£750,000で当時のクラブ史上最高額。

  • ソル・キャンベルの“幻の1試合”(2009年)
    元イングランド代表CBがわずか1試合のみ出場して退団。

歴史的には堅守速攻とロングボール主体。近年は下部リーグでもパスワークを重視し、ビルドアップから攻めるスタイルへ進化。

“Magpies(カササギ)”の愛称で親しまれ、黒白の誇りを胸に、歌声と皮肉混じりのジョークで選手を鼓舞します。

最大の宿敵はノッティンガム・フォレスト。川を挟む“世界で最も近いプロクラブ同士”の一つで、ダービー当日は街全体が熱気に包まれます。

チャント例: “County, County, County!”
シンプルで力強く、スタジアム全体を揺らす大合唱。

Wembley への帰還と蘇生の瞬間
2018-19シーズン、世界最古のプロクラブ・ノッツカウンティは史上初めてフットボールリーグから降格し、メドウ・レーンには暗い影が落ちました。しかしファンは決して離れず、2022-23シーズン、宿敵レクサムとの死闘を繰り広げ、勝ち点107を積みながらも自動昇格を逃し、プレーオフにすべてを託しました。

準決勝でボレアム・ウッドを逆転で下すと、決勝の地ウェンブリーでチェスターフィールドと激突。序盤に失点するも意地で追いつき、再び勝ち越されながら終了間際に同点弾。延長でも決着せず、勝負はPK戦に突入しました。

そこで輝いたのが守護神サム・スロコム。冷静なセーブで相手を止め、仲間のキックが次々と決まり、ついに勝利を掴みました。スタンドに詰めかけた4万人のファンは涙を流し、クラブと共に歓喜を分かち合いました。

この瞬間、ノッツカウンティはわずか1年でリーグ復帰を果たし、「歴史は終わらない」という誇りを世界に示したのです。

  • デレック・パヴィス(Derek Pavis)
    1980~90年代に会長を務めました。
  • 人物像
    地元ノッティンガム出身の実業家で、誠実で温厚な性格として知られています。
  • クラブへの貢献
    クラブの財政を安定させ、1990年代初頭の2度の昇格を支えました。
  • ファンとの関係
    ファンからは「クラブを潰さなかった救世主」として敬意を集めました。
  • 象徴的エピソード
    1992年にメドウ・レーンのスタンドに自らの名を冠した「パヴィス・スタンド」が建設されました。
  • 今日への遺産
    現在もスタジアムの象徴として残り、クラブと街を結びつける存在であり続けています。