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【バーミンガム・シティ徹底ガイド 】 The Bluesと工業都市の誇り

1. クラブ名の由来
当クラブは1875年に「Small Heath Alliance」として創設されました。1905年に「Birmingham」に改称し、さらに1943年からは現在の「Birmingham City」の名称を使用しています。クラブは地元で「The Blues(青軍団)」と呼ばれており、青色のユニフォームがその象徴となっています。


2. エンブレムの由来


エンブレムは地球儀とサッカーボールを組み合わせた独自のデザインです。国際的な視野を持つクラブの姿勢を表現するとともに、産業都市バーミンガムが「世界への窓口」として果たしてきた役割を示しています。


3. ユニフォームの特徴
クラブカラーは鮮やかなブルーです。ホームユニフォームは青一色を基調とし、シンプルでありながら力強い印象を与えるデザインとして、長年にわたりサポーターに支持されています。


4. スタジアム詳細

  • 名称:セント・アンドリューズ(St Andrew’s)
  • 収容人数:約29,400人
  • 開場:1906年
  • 所在地:バーミンガム市ボードスリーヒース地区
  • 特徴:工業都市らしい下町情緒に囲まれた立地に位置しています。
  • 雰囲気:試合時にはサポーターの熱気と合唱が響き渡り、「ブルーノイズ」と呼ばれる独特の雰囲気を生み出します。

5. クラブの方針・ビジョン
クラブは「地域社会とともに歩むクラブ」を基本理念とし、ユース育成とコミュニティ活動を重視しています。近年は財政難や経営上の問題に直面しつつも、クラブとしてのアイデンティティを維持し続けています。


6. 獲得タイトル

  • フットボールリーグカップ優勝:2回(1963年、2011年)
  • FAカップ準優勝:2回(1931年、1956年)
  • インタートトカップ優勝:1回(2001年)

7. 有名な出来事

  • 1956年 FAカップ決勝:GKジル・メリック選手が骨折しながら出場を続けた試合は、クラブ史に残る象徴的な出来事です。

  • 2011年 フットボールリーグカップ優勝:アーセナルを破り、近代史における最大の成果を挙げました。この勝利は街全体を歓喜で包みました。

8. 愛された選手と監督

  • 選手:トレヴァー・フランシス氏 ― クラブ初のユース育成からのスター選手であり、イングランド初の100万ポンドプレーヤーとしても知られています。スタジアムには彼を記念する銅像が建立されています。

  • 監督:アレックス・マクリーシュ氏 ― 2011年のリーグカップ制覇を達成した名将として高く評価されています。

9. 特筆すべき移籍
トレヴァー・フランシス氏の移籍(1979年):イングランド史上初の100万ポンド移籍としてノッティンガム・フォレストに移籍し、国内サッカー史に大きな足跡を残しました。


10. プレースタイルの特徴
伝統的にフィジカルの強さと献身性を重視し、堅守速攻を基盤としたスタイルを築いてきました。近年は若手選手を主体とする攻撃的なスタイルにも取り組んでいます。


11. サポーターの特徴
サポーターは「Blues」と呼ばれています。労働者階級を中心とした支持基盤を持ち、熱狂的かつ粘り強い応援で知られています。敵地においても声を枯らしてクラブを後押しする姿勢は広く認知されています。


12. ライバル関係
最大のライバルはアストン・ヴィラです。両者による「バーミンガム・ダービー(セカンドシティ・ダービー)」は、イングランド国内でも屈指の激しさを誇り、街全体を二分する一大イベントとなっています。


13. クラブソング・チャント
クラブアンセム「Keep Right On」は特に有名で、1955–56年のFAカップを機にクラブ・アンセムとして定着しました。1956年の準々決勝で、選手たちがバスの中で歌い始めたのがきっかけです。以来、ウェンブリーに向かう道中でも、選手だけでなくサポーターにも広まりました。

動画引用元:DavoBirmingham2

14. 伝説の試合:1956年 FAカップ決勝 ― “誇りを賭けた戦い”
1956年5月5日、ウェンブリー・スタジアム。バーミンガム・シティはクラブ史上初のFAカップ決勝へと駒を進めました。相手はマンチェスター・シティ。この試合は、勝敗以上に「勇気の象徴」として語り継がれています。
バーミンガムのGK ジル・メリックは試合中に脚を骨折しながらも最後までプレーを続行しました。当時は交代制度が存在せず、彼の気迫がクラブのスピリットそのものでした。試合は1–3で敗れたものの、「勇敢に戦ったブルース」としてクラブ史に深く刻まれることになりました。

スタンドを埋めた数万人のファンは涙と誇りを胸に刻み、この試合をクラブ史上最も感情を揺さぶる一戦として語り継いでいます。


15.人気オーナー
デイヴィッド・ゴールド(David Gold)&デイヴィッド・サリヴァン(David Sullivan)
1990年代後半~2009年

  • 人物像:実業家コンビで、商才と情熱を兼ね備えていました。

  • クラブへの貢献:財政を安定させ、2002年にはプレミア昇格を達成。

  • ファンとの関係:批判を浴びることもあったが、降格後も支え続けた姿勢で一定の支持を得ました。

  • 象徴的エピソード:地元ライバル、アストン・ヴィラ戦での勝利後、サポーターとともに喜びを分かち合いました。

  • 今への遺産:近代バーミンガムの基盤を築いた「二人組オーナー」として語り継がれています。